台湾商標登録出願の必要書類 台湾商標出願の流れ 台湾の商標制度

台湾商標登録出願の必要書類

◆委任状
◆優先権証明書(優先権主張をする場合のみ、出願日の翌日から3ヶ月以内に提出必要
◆5~8cm平方の商標見本6枚(カラーの見本の場合、別途に2枚の白黒の見本を提出必要

商標登録出願願書には「商標名称」、「出願人及びその住所又は営業所所在地の中文表記と英文表記」、「代表者の中文表記と英文表記」、「優先権主張国の国名、優先権主張番号、優先日」を記入する必要があります。

証明標章登録出願願書には「標章名称」、「出願人及びその住所又は営業所所在地の中文表記と英文表記」、「代表者の中文表記と英文表記」、「優先権主張国の国名、優先権主張番号、優先日」、「証明の標的(商品又は役務)」、「証明の内容」を記入する必要があります。なお、「出願人が証明を行う資格又は能力」、「証明標章の使用をコントロールする方式(即ち、標章の使用規範)」、「出願人自身が証明する商品の製造、販売又は役務の提供に従事しない声明」、「他の証明書類(必要な場合)」も同時に提出する必要があり、日本語で提出する場合、中文訳文を提出する必要があります。提出の書類は査証不要です。

委任状には委任者及び代表者の記名・押印が必要です。なお、委任状の書式は個別の発明(又は商標)の名称を明記しない場合、次回の出願では最初提出したもののコピーに出願番号を記入して提出すればよいです。

現時点では、知的財産局(特許庁)所在の台北市以外の新竹市、台中市、台南市、高雄市にはそれぞれの窓口があり、書類は必ず台湾時間の午後430(日本時間530)以前に提出しなければなりません。

 

台湾商標出願の流れ

 

台湾の商標制度

商標の定義 台湾の商標主務官庁 商標の出願から登録までの流れ
商標の分割 商標登録の要件 商標の異議
商標権の存続期間及び更新登録 類似商標 類似商品
商標権の分割 商標権者の権利 商標権の効力
商標権の消滅 商標登録の無効審判 商標登録の取消審判
商標権侵害 証明標章 団体標章
団体商標 証明標章、団体標章、団体商標の取消 商標の罰則
連合商標の廃止及び防護商標の廃止

◆商標の定義

台湾商標法は「商標は文字、図形、記号、色彩、音、立体形状又はこれらの結合で構成する」と規定しています。国際的な立法の趨勢を参考に、立体商標及び音響商標の保護に関する条項が追加されます。

商標は、その商品・役務の関連消費者にそれが該商品・役務を表彰する標識であると認識させることができ、且つそれによって他人の商品と区別できるものでなければなりません。

商標の使用とは、販売の目的で商標を商品・役務又はその関連物件に用いたり、若しくは平面画像、デジタルマルチメディア、電子メディア又はその他媒介物を利用して、関連消費者にそれが商標であると認識させることができるものをいいます。

 

◆台湾の商標主務官庁

台湾の商標登録出願の審査及び商標権利の授与を司っている主務官庁は知的財産局であって、経済部(日本の通産省に相当)に属する機関で、旧名は中央標準局であり、1999年1月26日に「 知的財産局」と名称変更しました。知的財産局の中で商標業務を司っているのは商標権組であって、現在、商標権組は六科に分けられ、それぞれ登録出願の審査、異議申立、無効審判、移転登録、使用権設定登録などの業務を取扱っています。

 

◆商標の出願から登録までの流れ

商標登録出願及びその関連事務は商標代理人に委任することができるが、台湾国内に住所又は営業所を有していない者は、商標代理人に委任しなければなりません。商標代理人は台湾国内に住所を有していなければなりません。現状では、商標代理の業務は専利(特許)代理人(弁理士に相当)に委任しており、司法官試験、弁護士試験、工業技師試験、会計士試験(いずれも高等試験)に合格する者、或いは短大卒以上の学歴を持って、特許主務官庁にて二年以上の審査事務を従事する者のみは専利(特許)代理人の資格を取得することができます。今まで、専利(特許)代理人の資格を持っている者が8000名を超えているが、実際に特許関係業務に従事する者は約400名で、その大半の特許事務所の経営者は弁護士です。将来的にいま国会審議中の「専利師法(弁理士法)」が通過した後、弁理士試験は弁理士資格取得のための唯一の方法となります。

出願人の為す商標に関する出願及びその他の手続が、法定期間を遅延した場合、又は法定手続に合致せず補正することができない場合、又は補正期限を過ぎても補正しない場合は、却下しなければなりません。出願人が災害又は自己の責任に帰すことのできない事由により法定期間を遅延した場合、その原因が消滅した後30 日以内に書面で理由を説明し、商標主務官庁に原状回復を申請することができますが、法定期間を遅延してすでに1 年が経過しているものは、前記の原状回復を申請することができません。原状回復の申請は、それと同時に期間内にしかるべき手続を補完しなければなりません。 商標に関する出願及びその他の手続は書面により行い、電子方式出願の導入その施行日及び規則はまだ定められません。

商標登録の出願は出願人が、商標、使用を指定する商品・役務及びその区分を明記した願書を備えて、商標主務官庁に出願しなければなりません。商標は、視覚で感知することのできる図案でこれを表示しなければななりません。商標登録の出願は出願人、商標図案及び使用を指定する商品・役務を明記した願書を以って出願を提出した日を出願日とする。

「小売サービス」の商標出願について、普通の商標として出願することができます。工商業団体の場合は団体商標として出願することができます。  

(一出願多区分制度):
国際的な立法の趨勢を参酌するとともに、当事者の申請における便宜を図るために、一出願多区分制度が導入され、出願人は1 つの商標登録出願を以って、二以上の区分の商品・役務への使用を指定することができます。

(変更申請):
商標及びその使用を指定する商品・役務は出願後、変更することができませんが、使用を指定する商品・役務の縮減は認められます。前項の変更は1 商標ごとにそれぞれ個別に申請しなければなりませんが、同一人が二以上の出願案を有し、その変更事項が同一である場合には、1 つの変更申請で同時にこの変更を申請することができます。

(登録出願の審査):
登録出願の審査は方式審査と実体審査に分けられます。方式審査は出願必要書類が完備しているか否かをチェックするほか、指定商品の区分、表現法についても審査します。出願書類に不足があれば補正を求められ、指定商品の区分または表現法が間違い或いは妥当でないと認められる場合は、類別変更または表現法修正を求められます。方式審査が済んでから実体審査へ入り、他人の同一、類似商品における既登録或いは先願と同一或いは類似するような事情があるか否かを審査されると同時に、特別顕著性を有するか否かなどの不登録事由に該当するか否かを審査され、商標法に規定される不登録事由に該当する事由がなければ、公告査定が発行され、商標公報に3ヶ月間公告され、公告期間中に他人による異議申立がなければ、期間満了により登録決定を受けることになり、10年の有効期間中登録を受けた商標について指定した商品につき専用権を有するほか、同一、類似商品における類似商標および類似商品における同一商標の使用を差止める禁止権を与えられます。

(登録料の納付):
商標登録出願について審査した結果、許可査定を受けた商標につき、出願人は査定書送達の翌日から2 ヶ月以内に登録料を納付しなければならず、登録料納付後、初めて登録公告され、且つ商標登録証が交付されます。期間が満了しても登録料を 納付しない場合、登録公告せず、原許可査定は、その効力を失います。

商標登録料は2 期に分けて納付することができます。登録料を2期に分けて納付する場合、第2 期目の登録料は、登録公告日から起算して満3 年になる前の3 ヶ月以内に納付しなければなりません。第2 期目の登録料を前項の期間内に納付しなかった場合、期間が満了してから6 ヶ月以内に規定の登録料の倍額を納付することができます。前項の規定により納付しなかった場合、商標権は該倍額の登録料の納付期限の翌日から消滅します。

 

◆商標の分割

一出願多区分出願制度に合わせて、商標登録について二つ以上の商品・役務への使用を指定する際、出願人又は商標権者の必要に応じて、出願中一つの出願を二つ以上の出願に分割或は登録後に一部の商品・役務を分割して譲渡することができます。分割出願は原登録出願日を出願日とする。

 

◆商標登録の要件

(商標の識別性):
商標法上登録できる商標は他人の商品・役務と互いに区別できるものであります。即ち、自他商品・役務の識別力を登録の要件とする。

また、公益上又は私益上の事由で、次の各項に該当する商標は登録することができません。 1、商品・役務の形状、品質、用途又はその他の説明を表示するもの。 しかしながら、他の地名でない文字、又は説明性のない文字、又は識別性のある図形を組み合わせれば、登録する可能性がありますが、形状、品質、用途又はその他の説明を表示する部分は専用しない声明をするべきであります。商標権の効力は形状、品質、用途又はその他の説明を表示する部分には及びません。2、指定する商品・役務の慣用標章又は名称であるもの。 3、商品又は包装の立体形状がその機能を確保するために必要であるもの。 4、台湾の国旗、国の紋章、国璽、軍旗、軍の徽章、印章、勲章又は外国の国旗と同一又は類似のもの。 5、孫文又は国家元首の肖像又は氏名と同一のもの。 6、台湾の政府機関、又は展覧的な性質を有する集会の標章又はこれらが授与する表彰状等と同一又は類似のもの。 7、国際的な組織又は国内外の著名な組織の名称、記章、徽章、標章と同一又は類似のもの。 8、正マーク(日本のGマークに相当)又はこれと同じ性質を有する国内外の査証マークと同一又は類似のもの。 9、公序良俗を害するもの。 10、公衆にその商品・役務の性質、品質又は産地について誤認、誤信させるおそれがあるもの。 11、他人の著名な商標又は標章と同一又は類似のもので、関連する公衆に混同誤認を生じさせるおそれがあるもの、或は著名な商標又は標章の識別性又は信用を損なうおそれがあるもの。但し、出願人が商標又は標章の所有者又は使用許諾をする者の同意を得て登録出願する場合はこの限りでない。 12、同一又は類似の商品・役務についての他人の登録商標或はそれらについて他人が先に出願した商標と同一又は類似のもので、関連する消費者に混同誤認を生じさせるおそれがあるもの。但し、該登録商標又は先に登録出願された商標の所有者の同意を得て登録出願する場合は、これら両者の商標及び指定商品又は指定役務が同一である場合を除き、この限りでない。 13、同一又は類似の商品・役務について他人が先に使用している商標と同一又は類似のものであって、出願人が当該他人との間に契約、地縁、業務上の取引又はその他の関係を有することにより、該他人の商標の存在を知っている場合。但し、該他人の同意を得て登録出願した場合はこの限りでない。 14、他人の肖像又は著名な氏名、芸名、ペンネームを有するもの。但し、該他人の同意を得て登録出願したものはこの限りでない。 15、著名な法人、商号又はその他の団体の名称を有し、関連する公衆に混同誤認を生じさせるおそれのあるもの。 16、 商標が他人の著作権、特許権又はその他の権利を侵害し、判決によりそれが確定したもの。但し、該他人の同意を得て登録出願した場合はこの限りでない。 17、台湾又は台湾と商標の保護を相互に承認する国家又は地区に係る酒類の産地表示と同一又は類似のもので、酒類商品への使用を指定するもの。

なお、台湾では日本のような商標の「標準文字」制度はありません。 200451 に台湾知的財産局が施行した「混同誤認の虞に係る審査基準」には、「表音文字の外国語、例えば、英語、日本語などが消費者に与える印象は称呼に重点が置かれ、外国語商標を対比するときは称呼の対比を重視すべきである」との記載があります。これは日本の標準文字商標制度と類似しており、標準文字により商標登録がなされる場合、商標権は別の書体で記載する称呼が同一の商標に及ぶことと同じです。つまり、台湾商標出願の際に提出した商標「ABC」はMs Gothic書体で提出する場合、 MS Mincho書体の「ABC」に権利が及びます。

 

◆商標の異議

何人も商標登録公告の日から3ヶ月以内に、商標の登録要件に違反した登録商標に対し、異議を申し立てることができます。異議申立ては、登録商標の使用を指定する一部の商品・役務について行うことができます。また、異議は 1 登録商標ごとにそれぞれ個別に申請しなければならない。異議申立てはかつて原案を審査したことのない審査官を指定し審査させなければなりません。

異議申立て手続が進行中に、異議申立てを受けた商標権が移転した場合、異議申立て手続は影響を受けない。商標権譲受人は異議申立てを受けた者の地位を引き継ぐことを表明し、異議申立て手続を続行することができます。

異議申立て人は異議審決書送達前に、その異議申立てを取り下げることができます。異議申立て人が異議申立てを取り下げた場合、同一の事実、同一の証拠及び同一の理由を以って、再度異議申立て又は無効審判を提起することができません。

異議申立てが成立した場合、登録商標がその使用を指定する一部の商品・役務にある場合、該一部の商品・役務についてのみその登録を取り消すことができます。異議確定後の登録商標については、何人も、同一の事実、同一の証拠及び同一の理由に基づいて無効審判を請求することができません。
また、異議申立て手続進行中、商標権に関する民事又は刑事訴訟が提出された場合、異議審決の確定前に、その訴訟手続の進行を停止することができます。

 

◆商標権の存続期間及び更新登録

商標権の存続期間は登録公告の日から10 年を持って終了しますが、商標権者の更新登録の申請により、更新することができ、更に一回ごとの10年間効力を存続することができます。 商標権の存続期間の更新登録を申請する場合、期間満了6 ヶ月前から期間終了後6 ヶ月以内の間に申請しなければなりません。期間終了後6ヶ月以内に申請する場合は、倍額の登録料を納付しなければなません。前項の延長許可を受けた期間は、商標権の存続期間が満了した翌日から起算します。

なお、商標権者が継続使用の意志に基づいて更新登録の申請を提出する際、商標が実際に使用されているか否かについての審査が廃止されます。

 

◆類似商標

商標権の効力範囲は権利が登録を受けた同一商標だけでなく、登録を受けた商標と類似する商標まで及ぶものであります。商標類似は、一般的な知識経験を有する一般購買者が商品を購入する際、通常の注意力を払い、両商標を全体的、離隔的に観察し、誤認混同を生ずるおそれがあるか否かで判断します。また、外観、称呼或いは観念のいずれかが同一であるか、或いは類似していれば、類似商標と認められます。

 

◆類似商品

商標権の範囲は登録を受けた同一商品のほか、登録を受けた商品と類似の商品に同一、類似商標の使用を禁止することができる禁止権を含みます。同一の類似商品群に属さなくても、一般的な社会通念、取引上の慣習により、商品の生産や販売場所、商品の原料・性質・用途・効能が同一であるかどうか、完成品と部品、付属品の関係にあるか否かなどをもって判断することになります。

 

◆商標権の分割
商標権者は、登録商標の使用を指定した商品・役務について、商標主務官庁に対し、商標権の分割を申請することができます。商標権の分割申請は、商標の異議又は無効審判案件が確定する前でも行うことができます。

 

◆商標権者の権利

商標登録出願により生じた権利は、他人に移転することができます。商標権を譲り受ける者は、原出願人の名義変更の許可を受けなければ、第三者に対抗することができません。また、商標権の移転は、商標主務官庁に登記を行わなければ、第三者に対抗することができません。商標権を移転した結果、二以上の商標権者が類似の商品・役務に同一の商標を使用し、或は同一又は類似の商品・役務に類似の商標を使用して、関連する消費者に混同誤認を生じさせるおそれのある場合、各商標権者は使用時に適当な区別表示を付さなければなりません。

また、商標権者は、質権の設定、及び質権の変更、消滅について、商標主務官庁に登記しなければ、第三者に対抗することができません。

商標権者が複数の債権の担保とするために商標権について複数の質権を設定する場合、その順序は登記の後先により定めます。質権の存続期間において、質権者が商標権者の許諾を得ずに該商標を使用することができません。商標権者は商標権を放棄することができます。但し、使用許諾登記又は質権登記のある場合は、使用許諾を受けた者又は質権者の同意を得なければなりません。

商標権者は登録された指定商品又は指定役務において、その登録商標を専用する権利を取得します。

次に掲げる情況については、商標権者の同意を得なければなりません。 1、同一の商品・役務において、その登録商標と同一の商標を使用する場合。 2、類似の商品・役務において、その登録商標と同一の商標を使用することにより、関連する消費者に混同誤認を生じさせるおそれがある場合。 3、同一又は類似の商品・役務において、その登録商標と類似の商標を使用することにより、関連する消費者に混同誤認を生じさせるおそれがある場合。

商標権者は、その登録商標の使用を指定した商品・役務の全部又は一部について、その商標の使用を他人に許諾することができます。使用許諾は、第三者に対抗するために、商標主務官庁に登記しなければなりません。使用許諾を受けた者が商標権者の同意を得て他人に使用権を再許諾する場合も同様とする。使用許諾の登記後、商標権を移転する場合、その使用許諾契約は譲受人に対しても継続して効力を有します。使用許諾を受けた者は、その商品、包装、容器上に又は営業上の物品、書類に、明らか且つ容易に識別できるよう、商標の使用許諾を受けた旨の標示をしなければなりません。標示することが明らかに難しい場合には、営業場所又はその他の関連物品上に、使用許諾を受けた旨の標示をすることができます。 商標の使用許諾期間が満了する前に、次の各項に該当する場合、当事者又は利害関係人は関連証拠を提出して商標の使用許諾登記の撤回を申請することができます。

  1. 商標権者及び被授権者双方が終結に同意しているとき。再授権のときも、また同じとする。

  2. 授権契約において、商標権者または被授権者が任意に授権関係を終結させることができると明定しており、当事者が終結を声明したとき。

  3. 被授権者が授権契約の約定に違反したことをもって、商標権者が授権契約の解除または終結を通知し、被授権者が異議を唱えなかったとき。

また、登録商標の使用について、商標権者が次の各項の行為を為した場合、その登録商標は使用すると認められます。

  1. 実際に使用した商標とその登録商標が異なっているものの、社会の一般通念によれば決して同一性を失していない場合。

  2. 輸出を目的とする商品又はその関連物件上に、登録商標を標示する場合。

 

◆商標権の効力

他人の商標権の効力は次に掲げる各情況には及びません。

  1. 善意且つ合理的に使用する方法で、自己の氏名、名称又はその商品・役務の名称、形状、品質、用途、産地又はその他商品・役務自体に関する説明を表示し、商標として使用しない場合。

  2. 商品又は包装の立体形状が、その機能を確保するために必要である場合。

  3. 他人の商標の登録出願日前に、善意で同一又は類似の商標を同一又は類似の商品・役務に使用する場合。但し、それは原使用の商品・役務に限ります。その場合、商標権者は、該商標を使用する者に対して、適当な区別表示の付記を要求することができます。登録商標を付した商品が、商標権者又はその同意を得た者により市場で取引きされ流通する場合、或は関連機関が法により競売又は処置する場合、商標権者は該商品について商標権を主張することができません。但し、商品の変質、毀損を防止するため、又はその他正当な事由がある場合はこの限りでない。

 

◆商標権の消滅

商標権は更新登録しなかった場合又は商標権者が死亡し、且つ相続人がいない場合、消滅します。

 

◆商標登録の無効審判

利害関係者は、商標登録が登録要件を欠くこと、或いは商標登録前に、他人の著作権、特許権又はその他の権利を侵害し、登録後に裁判所の判決で侵害が確定したことが判明した場合、商標権の存続期間満了後又は消滅後も、無効審判を請求することができます。

無効審判は商標登録にかかわる指定商品・役務が複数ある場合、指定商品・役務ごとに請求することができます。但し、登録公告の日から 5 年を経過したものについては、無効審判を請求することができません。

商標登録の無効審判は、商標主務官庁長官が無効審判審査委員として 3 名以上の審査官を指定し審査させる。無効審判の審決が確定した後は、何人も、同一の事実、同一の証拠及び同一の理由に基づいて無効審判を請求することはできません。

 

◆商標登録の取消審判

商標登録後、次の各項に該当する場合、商標主務官庁は、職権で又は利害関係人の請求により、その登録を取り消すことができます。

  1. 勝手に登録商標を変更し又は付記を加え、他人が同一又は類似の商品・役務において使用している登録商標と同一又は類似させ、関連消費者に混同誤認を生じさせるおそれのある場合。また、使用許諾を受けた者が前述行為を為し、商標権者は該行為を明らかに知っていた、又は知っていたはずであるにもかかわらず、反対を表明しなかった場合も同様とする。

  2. 正当な事由なく使用せず又は使用を停止し続けて、すでに3年が経過した場合。但し、使用許諾を受けた者が使用する場合はこの限りでない。但し、取消申請時に該登録商標がすでに使用されていた場合、他人の取消申請を知って、該取消申請前の 3ヶ月内に使用を開始した場合を除き、その登録を取り消しません。取消の事由が、登録商標の使用を指定する一部の商品・役務にのみ存在する場合、該一部の商品・役務についてその登録を取り消すことができます。

  3. 商標権を移転した結果、二以上の商標権者が類似の商品・役務に同一の商標を使用し、或は同一又は類似の商品・役務に類似の商標を使用して、関連する消費者に混同誤認を生じさせるおそれのある場合、各商標権者は使用時に適当な区別表示を付していない場合。但し、商標主務官庁の処分前に区別表示を付し、且つ混同誤認を生じるおそれがない場合はこの限りでない。

  4. 商標がすでにその指定商品又は指定役務に係る慣用標章、名称又は形状となっている場合。

  5. 商標が実際に使用されると、公衆がその商品・役務の性質、品質又は産地を誤認誤信するおそれがある場合。

  6. 商標を使用した結果、他人の著作権、特許権又はその他の権利を侵害し、裁判所の判決で侵害が確定した場合。

商標主務官庁は出願人の取消申請が具体的な証拠を欠き、又はその主張に明らかに理由がない場合には、直接却下することができます。答弁通知が送達された場合、商標権者はその使用の事実を証明しなければならず、期間が満了しても答弁しなかった場合、その登録を直接取り消すことができます。使用の事実の証明は、商業取引きの習慣に合致しなければなりません。

他人が同一又は類似の商品・役務において使用している登録商標と同一又は類似させ、関連消費者に混同誤認を生じさせるおそれのあること、又は商標を使用した結果、他人の著作権、特許権又はその他の権利を侵害し、裁判所の判決で侵害が確定したことにより、登録商標が取り消された場合、原商標権者は取消の日から 3 年間、原登録図案と同一又は類似の商標を同一又は類似の商品・役務において登録し、又は譲受けし、又は使用許諾を受けることができません。それが商標主務官庁の処分前に、商標権の放棄を声明した場合も、同様である。

 

◆商標権侵害

商標権者又は使用許諾を受けて商標を使用する者(以下は単に商標権者をいう)の同意を得ずに、次の各項の情況を有する場合、商標権の侵害と見なす。

  1. 他人の著名な登録商標であることを明らかに知りながら、同一又は類似の商標を使用し、又は該著名商標中の文字を自己の会社名称、商号名称、ドメインネーム、或はその他の営業主体又は供給元を表彰する標識とし、著名商標の識別性又は信用を損なう場合。

  2. 他人の登録商標であることを明らかに知りながら、該商標中の文字を自己の会社名称、商号名称、ドメインネーム、或はその他の営業主体又は供給元を表彰する標識とし、商品・役務に関連する消費者に混同誤認を生じさせる場合。

  3. 商標権者は、その商標権を侵害した者に対し、損害賠償、侵害排除、侵害防止を請求することができます。商標権者が損害賠償及び侵害排除を請求するとき、商標権侵害に係る物品、又は侵害行為に利用される原料又は器具について、廃棄又はその他の必要な処置を請求することができます。

商標権者は、その商標権を侵害する物品の輸出入に対して、税関でひとまず差し止めるよう申請することができます。差止申請は書面で行い、並びに侵害の事実を釈明し、且つ税関が見積った該輸入貨物税価格又は輸出貨物FOB価格に相当する保証金を提供しなければなりません。税関は、差止申請を受理した場合、即刻、申請人に通知しなければなりません。前述の規定に合致すると認めて差止を実施するとき、書面で申請人及び差止を受ける者に通知しなければなりません。

なお、次の各項の情況に該当する場合、税関は差止を撤回しなければならない。

  1. 申請人が税関から差止受理を通知された日から 12 日以内に、損害賠償、侵害排除、侵害防止を請求することがなく、差止物である侵害物について訴訟を提起せず、並びに税関に通知しなかった場合。但し、税関は必要に応じて 12 日間延長することができます。

  2. 申請人が差止物である侵害物について提起した訴訟につき、裁判所より却下確定の裁定が下された場合。

  3. 差止物につき、商標権を侵害する物ではないとする確定判決が裁判所より下された場合。

  4. 申請人が差止の撤回を申請した場合。

  5. 差止を受ける者は保証金の 2 倍の保証金又は相当の担保を提供し、税関に差止の撤回を請求するとともに、輸出入貨物に関連する通関規定により取扱う場合。

税関は、差止物の機密資料保護を損なわないという状況下において、申請人又は押収を受ける者の申請により、それに対し差止物の検視を許可することができます。差止物につき、商標権侵害であるとする確定判決を申請人が取得した場合、申請人が差止の撤回を申請した場合を除き、差止を受ける者が差止物のコンテナ延滞料、倉敷料、積み下ろし費用などの関連費用を負担しなければなりません。

また、次の各項の情況に該当する場合、税関は差止を受けた者の申請により、保証金を返還しなければなりません。

  1. 申請人が勝訴の確定判決を受け、又は差止を受けた者と和解し、すでに保証金を提供し続ける必要がない場合。

  2. 差止が撤回され、差止を受けた者が損害を受けた後、又は差止を受けた者が勝訴の確定判決を受けた後、申請人が、すでに 20 日以上の期間を定めて、差止を受けた者に権利を行使するよう催告したにもかかわらず、行使しなかった場合。

  3. 差止を受けた者が返還に同意した場合。

(商標権侵害の民事責任):
民事上においては差止請求をするほか、損害賠償を請求することもできる。損害賠償を請求する場合、権利侵害によって被った損害を立証し、損害額を請求することはできるものの、損害の立証は非常に難しく、この賠償請求はなかなか実現しにくいものである。従って、権利者の立証責任を軽減するため、商標法においては商標権侵害の損害賠償に特別の規定がおかれています。即ち、商標権者が損害賠償を請求する場合、次の損害賠償額算定方法により、その損害を算定することができます。

  1. 民法第 216 条の規定による。但し、その損害を証明するための証拠、方法を提供することができない場合、商標権者は、その登録商標を使用することによって通常得られる利益から、侵害された後同一商標の使用によって得た利益を控除した差額を、その受けた損害とすることができます。

  2. 商標権侵害者がその侵害行為によって得た利益による。商標権侵害者がそのコスト又は必要経費について立証できない場合は、該商品を販売して得た収入の全部を侵害者の受けた利益とする。

  3. 押収した商標権侵害に係る商品の小売り単価の 500 倍から 1500 倍までの金額による。但し、押収した商品が1500個を超える場合は、その総額を賠償額とする。

前項の賠償額が明らかに不適当である場合、裁判所はこれを減額することができます。

損害賠償の請求に際し、侵害者が悪意によって当該侵害行為を行い、且つ侵害された商標が著名商標であれば、商標法のほか、公平交易法により損害額の3倍に相当する金額を請求することができます。

商標権者の業務上の信用が侵害によって損われた場合、前項の規定以外にも、相当する金額の賠償を別途請求することができます。

また、商標権者は、商標権侵害者の費用負担で、商標権侵害の事実に係る判決書の内容の全部又は一部を新聞に掲載することができます。

(商標権侵害の刑事責任):
商標権侵害に対しては、民事訴訟として差止請求と損害賠償請求をするほか、刑事事件として対処することもできます。刑事事件として対処する場合、侵害事情の如何により警告状の発送或いは刑事告訴の提起によって対処することができます。侵害事情が軽微或いは侵害物品の生産ではなく、販売業務に関わるものであれば、侵害に関する証拠物件を入手し、侵害行為の停止および侵害物品の生産業者などに関する情報を開示するよう警告状を発送することができます。警告状を発送したにも関わらず、侵害物品の取扱いを停止しない場合や、或いは警告を無視した場合、入手した侵害に関する証拠物件を根拠に侵害訴訟を起こすことができます。ちなみに、侵害物品の取扱い業者に対し侵害訴訟を起こした場合、侵害物品の取扱い業者の悪意を証明しなければ、刑事訴訟は成立しません。悪意とは、不法な利益を貪るため自分の取扱う商品が商標権を侵害するものであることを認識しながら、侵害物品を輸出入、陳列、販売することを指します。侵害物品の生産業者に関しては、侵害事情は往々にして厳重であり、また権利者に対し実害を与えるので、侵害に関する証拠物件を入手したうえ、警告状を発送することなく直接刑事訴訟を起こすことが多いです。

商標権侵害に関し、侵害物品の取扱い業者あるいは生産業者の侵害情況によつて、それぞれ次の刑事責任が課されることとなります。

侵害商品の販売、販売を意図して展示、陳列、輸出入をする業者は1年以下の懲役、拘留若しくはNT$50,000以下の罰金に科す、または併科します。

また、商標権者、又は団体商標権者の同意を得ずに、次の各項の行為を為した場合、3年以下の懲役、拘留若しくはNT$200,000以下の罰金に科す、または併科します。

  1. 同一の商品又は役務に、同一の商標又は団体商標を使用する。

  2. 類似の商品又は役務に、同一の登録商標又は団体商標を使用し、関連する消費者に混同誤認を生じさせるおそれがある場合。

  3. 同一又は類似の商品又は役務に、その登録商標又は団体商標と類似する商標を使用して、関連消費者に誤認を生じさせるおそれがある場合。

前述の罪を犯して製造、販売、展示、輸出又は輸入した商品、或は提供した役務において使用された物品又は書類は、犯人の所有に属するか否かを問わず、侵害商品を没収します。

 

◆証明標章

標章を以って他人の商品・役務の特性、品質、精密度、産地又はその他の事項に証明を与える者が、その標章を専用しようとする場合、証明標章の登録出願をしなければなりません。

証明標章の出願人は、他人の商品・役務を証明する能力を有する法人、団体又は政府機関に限ります。証明標章の出願人が、それが証明しようとする商品・役務に係る業務に従事している場合、登録出願することはできません。

証明標章の使用とは、証明標章権者が他人の商品・役務の特性、品質、精密度、産地又はその他の事項を証明する意味で、それが商品・役務に関連する物品又は書類上に該証明標章を表示することに同意することを指します。

証明標章権は、移転、他人への使用許諾、質権の設定をすることができません。但し、その移転又は他人への使用許諾が消費者の利益に損害を与えず、且つ公正な競争に違反するおそれがなく、商標主務官庁の許可を受けた場合はこの限りでない。

 

◆団体標章

法人資格を有する組合、協会又はその他の団体が、その組織又は会員籍を表彰するために、標章を専用しようとする場合は、団体標章の登録出願をしなければならない。団体標章登録の出願は、関連事項を明記した出願書を以って、並びに団体標章の使用規範を添付して、商標主務官庁に対しこれを出願しなければなりません。

団体標章の使用とは、団体又はその会員身分を表彰するために、団体又はその会員が関連する物品又は書類上に標章を標示することを指します。

団体標章権は移転、他人への使用許諾、質権の設定をすることができません。但し、その移転又は他人への使用許諾が消費者の利益に損害を与えず、且つ公正な競争に違反するおそれがなく、商標主務官庁の許可を受けた場合はこの限りでない。

 

◆団体商標

法人資格を有する組合、協会又はその他の団体が該団体の構成員が提供する商品・役務を表彰しようとし、並びにそれによって他人の提供する商品・役務と互いに区別することができますように表彰を専用しようとする場合、団体商標として登録出願することができます。団体商標登録に係る出願は、商品・役務の区分及び名称を記載した出願書をもって、並びに団体商標の使用規範を添付して、商標主務官庁に対しこれを行うことができます。

団体商標の使用とは、団体の構成員が提供する商品・役務を表彰するために、団体の構成員が団体商標を商品・役務上に使用し、並びにそれをもって他人の商品・役務と互いに区別することができる場合を指します。

団体商標権は移転、他人への使用許諾、質権の設定をすることができません。但し、その移転又は他人への使用許諾が消費者の利益に損害を与えず、且つ公正な競争に違反するおそれがなく、商標主務官庁の許可を受けた場合はこの限りでない。

 

◆証明標章、団体標章、団体商標の取消

標章権者又は使用許諾を受けた者が、証明標章、団体標章又は団体商標を次の各項のように不当に使用し、他人又は公衆に損害が生じた場合、商標主務官庁は何人を問わずその請求により又は職権でその登録を取り消すことができます。

  1. 証明標章を商標として使用する、或は証明標章権者の商品・役務に関連する物品又は書類上に標示する。

  2. 団体標章又は団体商標の使用が社会公衆に該団体の性質を誤認させる。

  3. 前条の規定に違反して、移転、使用許諾、又は質権の設定をする。

  4. 標章の使用規範に違反する。

  5. その他の不当な方法による使用。

 

◆商標の罰則

商標権者、又は団体商標権者の同意を得ずに、次の各項の行為を為した場合、3 年以下の懲役、拘留又は NT$200,000 以下の罰金に処する又は併処する。

  1. 同一の商品・役務に、同一の商標又は団体商標を使用する。

  2. 類似の商品・役務に、同一の登録商標又は団体商標を使用し、関連する消費者に混同誤認を生じさせるおそれがある場合。

  3. 同一又は類似の商品・役務に、その登録商標又は団体商標と類似する商標を使用して、関連消費者に誤認を生じさせるおそれがある場合。

また、前述商品であることを明らかに知りながら、該商品を販売、又は販売を意図して展示、輸出又は輸入した者は、1 年以下の懲役、拘留又は NT$50,000 以下の罰金に処する又は併処する。

前述の罪を犯して製造、販売、展示、輸出又は輸入した商品、或は提供した役務において使用された物品又は書類は、犯人の所有に属するか否かを問わず、これを没収します。

 

◆連合商標の廃止及び防護商標の廃止

現在、世界の主要国家の多くが相次いで連合商標制度を廃止し、また連合商標の効果に限界があることに鑑み、且つ不必要及び不使用商標を不当に増やさないためにも、連合商標が廃止されます。2003 年 4 月 29 日改正商標法施行前にすでに登録されていた連合商標、連合役務標章、連合団体標章又は連合証明標章は、改正商標法施行日2003年11月28日から、独立した登録商標又は標章と見なす。その権利存続期間は、原許可を基準とする。

また、2003 年 4 月 29 日改正商標法施行前にまだ登録されていなかった連合商標、連合役務標章、連合団体標章又は連合証明標章出願案は、改正商標法施行日2003年11月28日から、独立した商標又は標章登録出願案と見なす。

また、登録商標の保護については、商標著名性の希釈化にも及んでいます。防護商標に対しては現在かなりの保護が与えられており、商標制度の簡素化を図るため、2003 年 4 月 29 日改正商標法施行前にすでに登録されていた防護商標、防護役務標章、防護団体標章又は防護証明標章は、その登録時の規定に従います。その専用期間満了前に、独立した登録商標又は標章への変更を申請しなければなりません。期間が満了しても変更を申請していない場合、商標権は消滅します。2003 年 4 月 29 日改正商標法施行前にまだ登録されていなかった防護商標、防護役務標章、防護団体標章又は防護証明標章出願案は、2003 年 4 月 29 日改正商標法施行日から、独立した商標又は標章登録出願案と見なす。

                                    

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